レチノールについて
レチノールについて調べると、意外なほど情報量が少ないのが分かります。
とくにWikipediaで調べてみますと、ビタミンAの項目に転送されてしまったりします。
実際に、レチノールはビタミンAの別称だと言ってしまっても間違いではありません。
なかには、「純粋な形」であるという説明もあります。
しかしそれだけでは、コラーゲンを増やすためのスキンケアに皮膚科学的に一番評価が高い理由がいまいち分かりません。
レチノールの科学的な説明
レチノールと一言でいっても、上記に挙げたようにビタミンAからレチノイン酸、レチノイドなど様々な呼び方があります。
これはレチノールがビタミンAの様々な形態に変換可能なことを示しています。
体の各部に作用するため、それに適した構造・形態に変化する万能選手…ざっくりとそのように捉えてしまって構いません。
その点ではビタミンCと似ていますね。
具体的な例えをひとつ上げて説明するならば、網膜はまさにレチノールが必要不可欠な部位です。
iPhoneなど、Apple製品の高精細ディスプレイをレティナディスプレイと呼びますが、この「Retina」はまさに英語で「網膜」を意味しています。
レチンアルデヒドとしても知られている網膜(レチン)ですが、レチノールに戻ることも可能です。
しかし酸化してレチノイン酸となってしまうと、その後眼中のビタミンとして機能することができません。
こうした科学的(化学的)な詳細については、これ以上立ち入る必要はないと思いますが、ここで重要な点は「酸化」です。
純粋なレチノールは酸化に極めて敏感なのです。
レチノール配合の商品は、低温かつ無酸素の環境で調整され、輸送されます。
栄養補助食品として調製される場合、レチノールはエステル誘導体酢酸レチニルまたはパルミチン酸レチノールとして安定化されます。
レチノールの体内への影響
レチノールについて難しい話はここで一旦区切り、どんな影響があるのかについて簡単に説明します。
詳しくはレチノールの効果を参照して下さい。
まず先に述べておくと、レチノールはビタミンAの一種である以上、人間の体内のあらゆる部分に存在する成分です。
そのため、アレルギー反応や抗原抗体反応などは比較的に少ないと言われています。
上に挙げた網膜以外でいえば、皮膚の健康や歯の再石灰化、および骨成長にレチノイン酸は不可欠であり、そのレチノイン酸への変換にレチノールは必須なのです。
この「皮膚の健康」が、まさにスキンケアの観点からレチノールの効果として語られるわけです。
ここの部分のみをクローズアップして雑に言ってしまえば、レチノールは肌のターンオーバーを促し、コラーゲンを増やす作用があります。
コラーゲンは皮膚の保水成分であるため、肌のはりを保ち潤いを与えることは説明するまでもないでしょう。
そのコラーゲンが加齢とともに急激に減少するため、しわやしみが発生するのです。
そのため、レチノールには目元のしわなどの小じわにとくに顕著な効果が期待できます。
また、ターンオーバーも促すので、しみにも有効です。
ただし深いしわには時間がかかります。
また、効果が高い分、刺激が強いことでも知られており、肌の弱い人は使用に注意が必要です。
レチノールが使われている化粧品
レチノールはしわやしみへの効果を謳っている化粧品にはほぼ例外なく配合されていると思っていいでしょう。
ただしその配合比率は非常に少ないため、効果を実感できるかどうかは微妙です。
脂溶性(油溶性)のビタミンなので、化粧水などよりは美容液やクリームの成分として使われる事が多いようです。
現状でもっとも評価が高いのは、b.glenのQuSomeレチノAでしょう。
※レチノイン酸については別の項目を設けて説明します。
レチノールはいつ使う?
レチノールは酸化にも敏感ですが、紫外線が当たると効果が弱まるため、基本的に朝ではなく夜のケア時に使う方が効果的です。
角質を落とすピーリングのあとに使用するとより浸透率が高まるといわれていますが、刺激の強いスキンケアは30代以降の「攻めのエイジングケア」において実践しましょう。
20代前半よりも若い方、肌の弱い方は、肌のコラーゲンを保つにはビタミンC誘導体やナイアシンを使った方がいいかもしれません。
ただし、レチノールの使い始めに肌がカサつく程度であれば、すぐに慣れるはずです。
最初は3日に一回くらいのペースで使い始めるのがいいでしょう。
ピーリング+レチノールは、毛穴の開きにも効果的なので、相性がいい人には積極的に取り入れてほしいエイジングケアです。